「浅見光彦シリーズ小樽殺人事件」を今さら読んだおじさん

少し昔の小樽

内田康夫のミステリー小説「浅見光彦シリーズ小樽殺人事件」を今さら読みましたので、その感想というか小樽市民からの目線というか…。

そもそもこの作品を知ったきっかけなのですが、一ヶ月ほど前に夜中適当にCSを見ていましたらTBSチャンネル2でドラマ版の「小樽殺人事件」がやっていたんです。
それで原作があることを知って小説を買ってみた次第です。

「三人寄ればフェリーで小樽」

上記は作中に出てくる小樽観光のキャッチコピーです。
小説版「小樽殺人事件」の時代設定は、この作品が最初に出版されたのが1986年ということで、それより少し前でしょうか。
実際、小説の中に小樽運河保存運動についても触れられていて、観光ブームが到来する前の小樽が描かれています。
「古いものをなんでもかんでも残してどうするの?」という作者のスタンスも書かれていて良いですね。

作中では実在する小樽の名所がたくさん出てきます。
北一硝子三号館や運河、倉庫群、朝里川温泉などなど。
地元民なら思わずニヤっとしてしまいますね。
静屋通りの千登瀬という蕎麦屋はたぶん藪半のことですよね?
主人公である浅見光彦が宿泊していた国際ホテルは、残念ながら現在はありません。
本筋とは関係ありませんが、お屋敷風キャバレーというのはキャバレー現代のことだと思うのですが、こちらも現存しておりません。

北一硝子三号館の場面で、若い女性に人気というような描写がありますが、その数年後に尾崎豊と斉藤由貴が二人で何度も小樽のガラスのお店を訪れていたという点からもその通りだったのでしょうね。
現在は外国人観光客の方々がとにかく多いという印象なので、若い女性に人気があるのかどうかはちょっとわかりませんが。

娘をミス小樽にするためにコネを使って云々みたいな話が作中に出てきますが、残念ながら現在はミス小樽の候補が一人も出てこなくて、なんとか二人とかを候補者に確保するのがやっとみたいな感じですね。
寂しい…。

作中には「ガンガン部隊」(ブリキのケースに小樽の鮮魚などを詰めて札幌や旭川に汽車で売りに行く行商。主に女性。戦後頃に多く見られたそうな。)についてもチラリと出てきます。
(以下本文より引用)

そんなもんで、私はガンガン部隊のおばさんに出会うと、思わず『ご苦労さん』って…、

(引用終わり)
でも、さすがにこの本の頃にはガンガン部隊はいなかったのではないかと思うのですが、どうだったんでしょうね?

肝心の事件とその解決なんですが、トリックとかは意外とあっさり流される感じで、わたしとしては人間ドラマとともに出てくる小樽の描写を楽しみました。
とても丁寧に取材をされてディティールに拘ったんだなというのがわかります。

わたしが買ったのは2012年に光文社から出版された文庫版なのですが、巻末に1999年1月時点での作者の自作解説が載っています。
その頃はまだ築港にマイカル小樽(現在のウイングベイ小樽)も開業していなかったので、また作者の内田さんには小樽に来ていただきたいな。
現在の小樽を見て、本の題材になるようなインスピレーションを受けることができるのかはわからないけど…。

今まで浅見光彦シリーズは読んだことがなかったのですが、小樽殺人事件以外にも3冊買ったので読んでみようと思います。
全国各地の地域情報の勉強にもなりそうだし。


小樽市民や小樽好きなら絶対に楽しめますよ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください